2010年11月2日火曜日

「わたし」の属するところ


雲がもくもくと立ちこめ、冬支度に入るパリの空
この10日間は、カトリックの聖人に祈りをささげる「Toussaint(万聖節)」というバカンスだった。バカンス最後の今日は国民の祝日で、祝日らしい一日を過ごした。

大学時代の友人が、九月から博士留学のため、パリに来た。卒業以来の再会だけど、パリでもお互いのキャンパスが隣りになり、なんだか同志ができたみたいで、嬉しい。彼は大学時代もフランスに交換留学をし、卒業後もずっと大学院で勉強をつみ重ねてきて、今回は博士論文を書き上げるため、パリに来た。当時、いろんな事情があって、「いったん社会人になってから留学する」と言った私に対し、「いったん社会人になってからだと色々、難しいと思う」と率直にアドバイスしてくれた学部生時代の会話を懐かしく思い出した。

そして今日、モンマルトルで六年ぶりの再会。サクレ・クール寺院を見て、モンマルトルの界隈を歩き、映画「アメリ」に出てくるカフェ Café des 2 Moulins に行ってみた。モンマルトルは何度も来たことがあるにも関わらず、このカフェには行ったことがなかったので、今日はちゃんと調べて、やっと入ることができた。せっかくなので、主人公のアメリを真似てクレーム・ブリュレとカフェを注文★

フランスお決まりの事柄についてのぐちを一通り聞いたあと、いろんなことを話した。彼はまだパリに来て日が浅いけれど、留学経験があるので語学には困らないし、それなりに会う友達もいる。けれども、帰属感のなさに悩んでいるという。「帰属感」という言葉に、はっと記憶が甦った。もう何年も前、上京したての大学生の私。大都会の真ん中に住み、人の巨大な流れを目の当たりにしながら、居場所が見つからず、孤独に直面していた。いろんな人がいて、いろんな生き方があって、では自分とは、自分らしさとは・・・。人を見れば見るほど、分からなくなる。存在の不確かさを補うため、人との繋がりで埋めようとするけれど、それは全く違う次元の希薄な事柄のようで・・・。アイデンティティの部分に、思考というメスを入れざるを得なかった。でも、思考すればするほど、「探してる何か」は見えなくなって・・・。

結局、そこから抜け出させてくれたものは、仲間でも、時間でも、場所でもなく、既にクリスチャンであった私にとって、「キリストに属する自分」というアイデンティティの再確認作業に他ならなかった。

そしてそれからというもの、私はどこに行ってもへっちゃらだ。実のところ、外国だろうが、日本の地方都市だろうが、友達がいなかろうが、仕事がなかろうが、まったく関係ない。限りなく不確かな存在である自分をそれでも保証してくれる「絶対的な何か」が重要なのではないか。私たちは不確かであっていい。そして、そこからスタートすることこそが、存在の確かさにつながる。そんなことをぼんやりと考えながら、帰途についた。

アメリのカフェ
哲学を研究している彼。なんだか既に、良いパリでのスタートをきっているみたい。応援したい気持ちでいっぱいだ。