2011年6月29日水曜日

博士論文の口頭審査に行ってきた

パリで知り合った友人が、5年近くかけた博士論文を先日、ついに書き上げ、口頭試問に招待してくれました。口頭試問とは、心血そそいで書いた論文へ、教授たちから評価を受ける、とっても重要な場。しかも、公開審査です。博士論文を受理された時点で結果は合格しかありませんが、評価には三段階あります。
Honorable, Très honorable, Très honorable avec les félicitations du jury
それぞれ訳すと、「素晴らしい・大変素晴らしい・審査員の御墨つきで、大変、素晴らしい」という感じでしょうか。初めに20分ほど発表をしたあと、4人の教授がそれぞれ感想を述べたり、質問をします。途中、20分の休憩を含め、総計3時間半に及ぶ、長い審査でした。発表や質問等が全て終わり、5分ほど退室。教授たちの話し合いによって決まった結果は、なんと
Très honorable avec les félicitations du jury ! 会場は、拍手と喜びに包まれました。

才媛な上に、大変な努力家の彼女。おまけにしっかりしているので、大して心配もせず見ていたのですが、それにしても、しっかりこの結果を出すとはあっぱれ・・。重要な場に立ち会って完璧なものを見せていただき、心から感動。爽やかで、すがすがしい気持ちになりました。彼女の明るさと謙虚に努力する姿勢は、いつも場を華やかにし、そして不思議と元気を与えてくれます。

その後、近くのカフェへ移動し、pot(カクテルパーティ)に参加。パリに住み、志を同じくする日本人の方々を初め、友人のフランス人や教授たちと歓談して帰ってきました。模範となるものを見て、イメージするって大切。修士論文の口頭審査も一応、公開審査だし、そろそろ先のことを決める時期でもあるので、自分にとって重要なこの時期に、素敵な機会が与えられ、喜び、感謝をささげた一日でした。




2011年6月17日金曜日

幼稚園のお祭り

フランスは今、年度末でイベントが盛りだくさん。来仏当初、お世話になった友人家族が帰国することになり、子どもの幼稚園のお祭りに行ってきました。要は、発表会です。

テーマは「春夏秋冬」。モダンバレエのような作りになっていて、なかなか楽しめました。子供たちの振り付けのかわいさはさることながら、衣装や選曲のセンスの良さなど、全てがうまくまとまっていて、全体的な芸術点の高さに感心しました。先生たちの苦労が目に浮かびます。お面が凝っていたり、冬のシーンでは、雪玉が観客席まで飛んできたり、楽しく工夫が凝らされていました。最後には子供たちがファッションショーのように、ステージを行進して挨拶。保護者も交えて歌を歌って終了。あとは立食形式で軽食をとり、歓談して帰ってきました。うまく伝わるかわかりませんが、以下、写真にてご覧ください。






2011年6月16日木曜日

西フランス La Rochelle

仕事で4日間、西フランスのLa Rochelleという街に行ってきました。ナントよりやや南、大西洋に面する海の街です。通訳のお仕事だったのですが、クライアントに付き添ってあちこちを観光。養殖場を見学したり、水族館に行ったり、砂丘を歩いたり、ヨットに乗ったり、シーフードをたらふく食べて、純粋に楽しく、盛りだくさんな旅行でした。たまにはこんなご褒美がなくっちゃね! 写真をたくさん撮れなかったのがちょっとだけ残念。それにしても、文化の狭間に立つってやはり難しい。通訳はもちろん言葉、そして文化の架け橋となるべく頑張るけれど、互いに理解し合おう、という気持ちは何より大切だな、と思いました。


2011年6月4日土曜日

『ノルウェイの森』 映画批評

村上春樹の『ノルウェイの森』が映画化された。初めに断っておくと、私はこの作家の文章の巧みさには惹きつけられる反面、好みでないし、理解も共感もできない。だけどそろそろ期末試験で、文体論のレポートのテーマとして書きやすかったので、勉強のため観に行ってきた。

村上ファンが多いここフランス。5月4日に映画公開されたばかりというのに、どんどん上映会場と回数が減らされていく。フランスメディアの映画の総合評価も4つ星中2つ平均といまいち。慌ててひとりで観に行った。

そんな前評判もあってか、期待せずに観たけれど、観てみて納得。うーん、残念ながら、映画としては二流以下だ。(ファンの人いたら、ごめんなさい。しろうとの戯言と思って読み流してください。) 日本の風景美は美しいし、60年代の雰囲気も上手に再現されていて、タイムスリップした気分にさせてくれる。でも、映像美がやたらと目につく反面、そこに生きる人々の心情が不自然なまでに、ドロドロと描かれすぎている。

たとえば主人公の病気の彼女・直子役の菊池凛子の演技はあまりにリアルで、まるでサスペンスドラマか、幽霊屋敷に入った時に背筋が冷たくなる類いの薄気味悪さを感じた。彼女は小説の本当の意味での主人公でありながら、若者のもつ可憐さのかけらもないうえに、美しくもない。あんなに力強い精神病患者は実際、見たことがない。自殺シーンも、どうして爽やかに美しく痛々しく見せられなかったのだろう。おどろおどろしいホラー映画のワンシーンのようで、彼女の力強い叫び声、泣き声には青春時代の自分を重ね合わせるどころか、苦笑がしらけへと変わってしまい、途中で何度も席を立ちたくなった。

人間の本質に近いものを見せたかったのだろうけれど、見せられれば見せられるほどに引いてしまう。小説の軽妙なタッチに比べ、全体に意匠が凝らされすぎていて映画として重たい。俳優たちのセリフもどことなく浮いていて、ぎこちない。映像美と登場人物の心情の吐露が、アンバランスで居心地を悪くさせる。

愛とか死とかいう重たいテーマに、どのように透明感をもって魅せられるか、がこの映画化に際して監督の腕の見せどころだったと思うのだけれど、余計な解釈や意気込みが入り込みすぎてしまったのだろうか。バランスをとり、陰影をつけつつ、上手にまとめてほしかった。死や愛についてさらりと描くのが上手な村上なのに、この映画では重たくて目もあてられない。なんだか息苦しくなって、映画館から出て空を見上げたら、その単純な青さにほっとした。